故人のApple・Googleアカウントのデータへのアクセスを申請する
「スマホは開けないけれど、Googleアカウントやクラウドに写真が残っているはず」。そう考えて調べ始めた方に、先にお伝えしたいことがあります。
結論からお伝えすると、アカウントへの申請と、端末のロックはまったく別のものです。AppleにもGoogleにも、遺族が申請できる公式の窓口はあります。ただしそれは「アカウントに保管されているデータをどう扱うか」を申請する制度であって、手元の端末が開くようになる制度ではありません。
この記事では、各社の公式案内で確認できる範囲に絞って、申請でできること・できないこと、窓口の場所、そして生前に設定されていれば使える仕組みを整理します。
アカウントへの申請と、端末のロックは別のもの
Appleは公式の案内で、パスコードでロックされているデバイスはパスコード暗号化で保護されているため、デバイスを消去しない限り、Appleではパスコードについて手伝うことができないと説明しています。
Googleも故人のアカウントに関する窓口のページで、「パスワードや他のログイン情報をお伝えすることはできません」と明記しています。
つまり、どちらの会社も「遺族に代わって画面のロック(パスコード・パスワード)を解除する」制度は用意していません。あとで触れる「アクティベーションロック」は、これとは別のしくみです。端末そのものが開かずにお困りの場合は、iPhoneが開けないとき、Androidが開けないときをご覧ください。
申請でできること・できないこと
遺族の方が抱きやすい期待と、公式案内に書かれている実際の内容を並べます。

なお、審査にかかる日数は公式の案内では示されていません。期間を断定している情報を見かけても、そのとおりに進むとは限らないとお考えください。確かなのは各社の案内ページと、申請後に届く連絡です。手続きに期限があるものは、申請の結果を待たずに並行して進められるよう、先に整理しておくと安心です。
AppleとGoogle、それぞれの窓口
まず、故人が何を使っていたかで見る窓口が変わります。
- iPhone・iPad・Macを使っていたAppleの「亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスを申請する」の案内を確認します
- Android・Gmailを使っていたGoogleの「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」の窓口を確認します
- 端末そのものが開けないアカウント側とは別の問題です。iPhoneが開けないとき・Androidが開けないときをご覧ください
- SNSやLINEを整理したいSNSの追悼・削除、LINEのトークで別に扱います
Appleの窓口
Appleは「亡くなったご家族のApple Accountへのアクセスを申請する」という案内ページを公開しています。ここで確認できるのは次の点です。
- セキュリティ上の理由から、事前に法的書類を提出し、Appleの審査を受ける仕組みになっている
- 通常は死亡証明書を用意することになるが、場合によっては裁判所命令やその他の書類も必要になる
- 書類の要件は国や地域によって異なり、日本では死亡証明書ではなく、アカウント所有者の死亡の記載がある戸籍謄本が必要になる場合があるとされている
- 米国などでは裁判所命令が求められるが、日本を含む一部の法域では、裁判所命令の代わりとなる書類や手続きが認められている
- アカウントとデータの完全な削除は、Appleの「デジタル遺産」ウェブサイトから申請できる
申請が認められた場合、故人の当初のApple Accountが使われていた端末のアクティベーションロックについては支援が受けられる、とAppleは説明しています。ただしその端末は、いったん消去して復元しないと別のApple Accountでは使えないとされています。
ここは混同しやすいところなので、整理しておきます。
- 画面のロック(パスコード) — 端末を消去しない限り、Appleでも解除できないとされています
- アクティベーションロック — 端末を初期化したあと、その端末を再び使えるようにするための本人確認のしくみ。申請が認められた場合に支援が受けられるとされています
つまり、アクティベーションロックの話は「消去したあとの端末を使えるようにできるか」であって、端末の中のデータが戻ってくるわけではありません。
Googleの窓口
Googleは「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」という窓口を用意しています。公式ページで確認できるのは次の点です。
- 目的として「故人のアカウントを閉鎖する」「故人のアカウントから資金を取得するためのリクエストを送信する」「故人のアカウントからデータを取得する」の3つが示されている
- Googleは家族や代理人と連絡を取り、適切であると判断した場合にアカウントを閉鎖するとしている。場合によってはコンテンツを提供することがあるとも書かれている
- パスワードや他のログイン情報は伝えられない
- リクエストに応じるかどうかは慎重な審査のうえ決定される
必要な書類や進め方は、選ぶ目的によって画面が分かれます。細かい要件は公式の窓口の案内に従って確認してください。
生前に設定されていれば、使える仕組みがあります
故人が生前に設定していた場合に限り、より簡単な道が用意されています。まずは設定されていないか確かめてみる価値があります。
Appleの「故人アカウント管理連絡先」は、自分の死後に自分のApple Accountの特定のデータへアクセスできる人を、本人があらかじめ選んでおく仕組みです。Appleの説明では次のとおりです。
- 対象になるデータは、写真、メッセージ、メモ、ファイル、デバイスのバックアップなど
- 購入した映画・音楽・ブック・サブスクリプション、iCloudキーチェーンに保管されたお支払い情報・パスワード・パスキーにはアクセスできない
- 申請には、指定時に作られたアクセスキーと故人の死亡証明書(日本では戸籍謄本)が必要
- アクセスキーを紛失した場合、プライバシーとセキュリティを守るため、Appleでは再発行や引き渡しに応じられない
- アクセスできる期間は、最初に承認された日から3年間に限られる
Googleの「アカウント無効化管理ツール」は、一定の期間アカウントが使われない状態が続いた場合に、あらかじめ指定した相手へデータの一部を共有したり通知したりする仕組みです。受け取る相手は10人まで指定でき、共有するデータの種類も選べます。プランが実行されるまでの期間は、本人が設定時に指定します。設定されていなかった場合について、Googleは「2年以上Googleを使用されなかった場合、無効なアカウントとそのデータを削除する権限を有する」としています。
どちらも本人が生前に設定しておく必要があり、亡くなった後から遺族が設定することはできません。
申請の前に用意しておくとよいもの
窓口を開く前に、手元の情報を整理しておくと進めやすくなります。
- 故人が使っていたアカウントメールアドレスやユーザー名。端末の画面、届いているメール、クレジットカードの明細が手がかりになります
- 亡くなったことが分かる公的書類Appleは通常は死亡証明書とし、日本ではアカウント所有者の死亡の記載がある戸籍謄本が必要になる場合があるとしています
- 申請する人と故人の関係が分かるもの求められる書類は国や地域、申請の内容によって異なります。必ず公式の案内で確認してください
- 連絡を受け取れるメールアドレス受付や審査結果の連絡はメールで届く仕組みになっています
書類をそろえる作業と並行して、端末は操作せずそのまま保管しておいてください。焦って初期化したり、パスコードを何度も試したりすると、あとで取れる手段が減ります。全体の進め方はデジタル遺品整理のやることリストにまとめています。
そして、この申請はあくまで「アカウントに残っているデータ」への道です。端末の中にしかない写真や書類、ネット銀行の手がかりなどが目的の場合は、別のアプローチが必要になります。
どちらの問題なのか判断がつかないときは、状況を伺ったうえで、対応できる専門業者を無料でご案内します。なお、ご相談いただいても画面のロックが開くようになるわけではありません。ご一緒にできるのは、端末を保全したうえで、どの窓口に何を申請すればよいかを整理し、ほかに手がかりが残っていないかを確認するところまでです。
参考にした公式情報
この記事は、次の公式ページの記載にもとづいて作成しています(最終確認: )。手続きの内容は変更されることがあるため、実際に進める際は各公式ページで最新の案内をご確認ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法務・税務等の専門的な助言ではありません。個別の手続きについては各サービスの公式窓口や専門家にご確認ください。記事の内容は公開・更新時点の情報に基づいています。