故人のiPhoneのパスコードが分からないとき、遺族ができること

「母のiPhoneを開きたいのに、パスコードが分からない」。写真も、連絡先も、契約の手がかりも、あの数字の向こうにある——デジタル遺品の整理では、ここでどう進めばよいのか分からなくなることがあります。

先にお伝えしたい結論は2つあります。ひとつは、パスコードでロックされたiPhoneは、Appleでも開けられないということ。もうひとつは、それでも、「アカウント側」という別のルートが残っているということです。端末とアカウントを別のものとして切り分けると、進む方向が見えてきます。

この記事では、Appleの公式案内をもとに、いま何ができて何ができないのかを整理し、次にどこへ進めばよいのかをご案内します。

はじめに、外側の状態を確かめてください。異音がする・水にぬれた形跡がある・異常に熱い・焦げた跡がある——このいずれかに当てはまる場合は、いま操作できる状態であっても、それ以上通電しないでください(電源が入っていれば切ります)。機器の損傷は通電のたびに広がることがあり、この確認がほかのどの手順よりも先です。このサインがある場合は、以下の手順には進まず、専門の窓口にご相談ください。

故人のiPhoneが開けないときの進み方を示すフローチャート。パスコードが分かるかを判定し、いいえの場合は故人アカウント管理連絡先のアクセスキーがあるか、さらに故人のApple Accountと必要な書類がそろうかを順に判定して、端末内データの保存・アカウント側の申請・専門窓口への相談のいずれかにたどり着く
上から順に「はい・いいえ」で進みます。どの経路をたどっても、端末のパスコードそのものが分かるわけではありません

パスコードは、Appleでも開けられません

まず、いちばん大事な事実からお伝えします。

Appleは、亡くなったご家族のApple Accountへのアクセス申請を案内する公式ページで、「パスコードでロックされているデバイスはパスコード暗号化で保護されているため、デバイスを消去しない限り、Appleではパスコードの解除をお手伝いすることができません」と明記しています。

iPhoneはパスコードを設定した時点で、本体のデータが暗号化されます。Appleのユーザガイドでは、パスコードを設定するとデータ保護機能が有効になり、256ビットAES暗号化によってiPhoneのデータが暗号化されると説明されています。

つまり、Appleに連絡しても、端末のパスコードそのものを解除してもらうことはできません。これは前提として、ここから先は「端末以外に、どこに手がかりが残っているか」を探す方向に切り替えます。

iPhoneには触れず、ほかの場所を探す

パスコードが分からない状態でできることは、iPhoneをそのままの状態で保つことと、iPhone以外に残っているものを探すことの2つです。端末の操作は増やさず、次の場所を確認してください。

手に持たれたiPhoneのロック画面
端末はそのままに。操作を増やさないことが、選択肢を残します
  • 書き残されたもの手帳、ノート、机の引き出し、通帳や保険証書と一緒のファイル、エンディングノート。パスコードに限らず、契約先やアカウントの手がかりが残っていることがあります
  • ほかの機器故人が使っていたパソコン、iPad、外付けHDD。同じ写真や連絡先が入っていることがあります
  • ご家族の手元故人から送ってもらった写真、共有していたアルバム、やりとりの履歴。ご自身の端末に残っているものは、いま確認できます
iPhoneを操作せずに確認できる場所。ここに残っていれば、端末を開けなくても手に入ります

なお、心当たりのある番号を思いつく順に入力していくことは避けてください。前の項目のとおり、失敗の回数そのものが、残っているデータを失うことにつながりかねません。

端末が開かなくても、届く範囲があります

パスコードが分からないままでも、確認できる範囲は残っています。ご自身がどれに当てはまるかを見てください。

  • 故人アカウント管理連絡先のアクセスキーが手元にあるAppleの「故人アカウント管理連絡先」としてアクセスを申請できます
  • Apple Accountと必要な書類はそろいそう法的書類をそろえてAppleに申請する道があります
  • 故人と写真を共有していたご家族のiPhone・iPad・パソコンに、共有していた写真が残っていないか確認します
端末が開かなくても、当てはまるものがあれば次の一手があります

Appleには、生前に指定された人がデータへのアクセスを申請できる「故人アカウント管理連絡先」の仕組みと、法的書類をそろえて申請する窓口があります。前者は故人が生前にアクセスキーを渡していた場合に限られ、Appleは紛失したアクセスキーへの対応には応じられないとしています。

いずれの申請でも、Appleが案内しているのはアカウントに保管されているデータの扱いであって、手元の端末のパスコードが分かるようになるわけではありません。対象になるデータの範囲、必要な書類(日本では戸籍謄本が求められる場合があります)、申請の進め方は、故人のアカウントに残ったデータを申請するにまとめています。

消去は、いちばん最後の判断

パスコードを忘れた端末について、Appleは「デバイスをリセットする」という公式手順を案内していますが、そのページには「このプロセスを行うと、iPhoneに現在保存されているデータを消去することになります」と明記されています。

専門の窓口に相談したほうがよい場合

はじめにお伝えしておくと、ご相談いただいても、パスコードのかかったiPhoneを開けるようになるわけではありません。ご相談いただけるのは、端末を保全したうえで、共有先・バックアップ・ほかの機器・契約の手がかりを整理し、次にどこへ問い合わせればよいかを一緒に決めるところまでです。そのうえで、次のような状況では、ご自身で操作を重ねるより、状況を整理してから動いたほうが安全です。

  • パスコードに心当たりがなく、すでに何度か入力を失敗している
  • 端末の中に、相続の手続きに必要な情報が入っている可能性がある
  • 故人アカウント管理連絡先のアクセスキーも、必要な書類のあてもない
  • ほかの機器やバックアップも含めて、どこから手を付ければよいか分からない

デジタル遺品の整理は、デジタル遺品整理のやることリストのとおり、順番を間違えないことが結果を大きく左右します。パソコンなど他の機器も開けない状況であれば、故人のパソコンが開けないときもあわせてご確認ください。

参考にした公式情報

この記事は、次の公式ページの記載にもとづいて作成しています(最終確認: )。手続きの内容は変更されることがあるため、実際に進める際は各公式ページで最新の案内をご確認ください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法務・税務等の専門的な助言ではありません。個別の手続きについては各サービスの公式窓口や専門家にご確認ください。記事の内容は公開・更新時点の情報に基づいています。

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