故人のAndroidスマホが開けないときの対処法と注意点
「父のスマホを開きたいのに、パターンが分からない」。Androidスマートフォンは、ご遺族が最初につまずきやすいデジタル遺品です。
先にお伝えしておくと、画面のロックを開けるための手段は、この記事では扱いません。故人の端末であっても、思いつくままに入力を試したり初期化したりすることは、かえって中のデータを失う原因になります。代わりに知っておいていただきたいのは、端末とアカウントは別のルートだということです。端末が開けなくても、Googleアカウント側にデータが残っている場合があります。
この記事では、Android端末が開けないときにまず確認すること、やってはいけないこと、そしてアカウント側という別ルートの考え方を整理します。iPhoneをお持ちの場合は故人のiPhoneのパスコードが分からないときをご覧ください。
はじめに、外側の状態を確かめてください。異音がする・水にぬれた形跡がある・異常に熱い・焦げた跡がある——このいずれかに当てはまる場合は、いま操作できる状態であっても、それ以上通電しないでください(電源が入っていれば切ります)。機器の損傷は通電のたびに広がることがあり、この確認がほかのどの手順よりも先です。このサインがある場合は、以下の手順には進まず、専門の窓口にご相談ください。
まず確認したい3つのこと
この段階では、パターンやPINを入力してみることはしません。見るだけで分かる次の3点を控えておきます。
- ロックの種類ロック画面がパターン(9つの点)なのか、PIN・パスワードなのか、指紋や顔などの生体認証なのかを見て控えます
- 電源と充電の状態電源が入るか、充電できるか。画面が割れている、水に濡れた形跡があるときは通電しません
- SIMと携帯回線SIMカードが入っているか。回線の契約をどうするかは、端末が開くかどうかとは別に決めることになります
ロックの種類は、あとで相談するときに状況を正確に伝えるための情報です。なお、指紋や顔での認証が設定されていても、電源を入れ直したあとなどはパターンやPINの入力を求められることがあります。「生体認証だから開けられる」とは限らない、という前提で考えてください。
電源と充電は、単に充電が切れているだけの状態を「壊れた」と誤解しないために確認します。ただし、画面の破損や水に濡れた形跡があるときは、充電も電源の入れ直しもせず、そのまま保管してください。
SIMと携帯回線については、契約をどうするかを別に決める必要があります。携帯各社は「承継(名義変更)」と「解約」の両方を案内しており、番号を残すかどうかで選ぶ手続きが変わります。手続きをしないままだと故人名義で基本料金の請求が続くと案内している会社もあります。決める前に確認したいことは故人の携帯・スマホ — 解約と承継にまとめています。
また、機種によってはメーカー独自の保護機能が設定されていることがあります。端末の型番が分かる場合は、メーカーと契約中の携帯会社の公式サポート窓口に、故人の端末である旨を伝えて確認してください。
やってはいけないこと
初期化については、携帯ショップやサポートの案内で「端末を使える状態に戻す方法」として説明されることがあります。端末を再び使うことが目的なら妥当ですが、中のデータを見ることが目的なら別の話です。目的をはっきり伝えてから相談してください。

端末が開けなくても、残っているデータがあります
Android端末のデータは、端末の中だけにあるとは限りません。故人が生前にバックアップや共有を設定していた場合、Googleアカウント側にデータが残っていることがあります。
Googleフォトのヘルプでは、バックアップをオンにすると「写真や動画を Google アカウントに自動的に保存できます」と説明され、保存した写真や動画には「ログイン中のあらゆるデバイスからアクセスできます」とされています。つまり、故人がバックアップをオンにしていたなら、写真や動画は端末のロックの内側だけにあるわけではありません。
もうひとつが、生前に共有されていた場合です。Googleフォトでは「相手が Google フォト アプリを使用していない場合でも、連絡先の誰とでも写真、動画、アルバム、ハイライト動画を共有できます」とされ、共有アルバムに参加した相手には、共有された写真や動画が自分の画面に表示されるとされています。生前に共有アルバムやパートナーとの共有でご家族と写真を共有していたのであれば、そのご家族はご自身のアカウントから引き続き見られる場合があります。
- 故人がバックアップをオンにしていた写真や動画はGoogleアカウント側にも保存されています。見るには、そのアカウントへアクセスできることが前提です
- 生前に共有アルバムやパートナーとの共有を設定していた招待されていたご家族は、ご自身のアカウントから引き続き見られる場合があります
- アカウントにアクセスする手段がないGoogleの公式窓口への申請を検討します。端末のロックとは別の手続きです
いずれも故人が生前に設定していた場合に限られる話です。「必ず残っている」というものではないため、期待しすぎず、確認できる範囲から見ていくという進め方になります。
アカウント側の公式ルート(端末のロックとは別のもの)
Googleには、遺族の方に関係する公式の仕組みが用意されています。ただし、いずれも端末のロックを開けるためのものではありません。ここを混同しないことが大切です。
1つ目は、アカウントの復元手続きです。 Googleのヘルプでは、パスワードやユーザー名を忘れた場合などに復元の手順を使うと説明されており、その過程で「アカウントがご自身のものであることを確認するための質問が表示されます」とされています。つまり本人確認を前提とした手続きであり、ご遺族が代わりに進めるためのものではありません。
2つ目は、故人のアカウントに関するリクエストの窓口です。 Googleは、故人のアカウントを閉鎖する、故人のアカウントから資金を取得するようリクエストする、故人のアカウントからデータを取得する、という申請を受け付けているとしています。ただし「故人のお客様に関するリクエストにお応えするかどうかは、慎重な審査のうえ決定されます」とされ、さらにGoogleは「パスワードや他のログイン情報をお伝えすることはできません。」と明記しています。
この一文が意味するのは、この窓口に申請しても、故人のアカウントのパスワードが分かるわけでも、端末のロックが開くわけでもないということです。あくまでアカウント側で扱えることに限られます。申請の流れや必要になる書類の考え方は故人のアカウントのデータを申請するにはにまとめています。
3つ目は、アカウント無効化管理ツールです。 これは「一定の期間自分のアカウントを利用していない状態が続いた場合に、そのアカウント データの一部を共有したり、他のユーザーに通知したりするための手段」とされる仕組みで、最大10人まで信頼できる連絡先を指定できるとされています。ただし、これは本人が生前に設定しておく機能です。ご遺族が後から設定できるものではないため、故人が設定していたかどうかを確認する、という位置づけになります。
保全したうえで、相談を検討したほうがよい場合
ここまで確認しても手がかりがない場合や、端末そのものに問題がある場合は、ご自身で操作を重ねる前にご相談ください。判断に迷う段階でのご相談でも構いません。
ただし、先にお伝えしておくことがあります。ご相談いただいても、ロックされた端末を開けたり、本人確認を代行したりできるわけではありません。 ご一緒にできるのは、端末を保全したうえで状態を確かめ、ほかに手がかりが残っていないかを整理し、どの正規の窓口に何を問い合わせればよいかを決めるところまでです。この前提のうえで、次のような状況であればご相談ください。
- 端末が開けず、中の写真やデータが必要自己判断の操作は、取れる手段を減らします。ロックの種類と端末の状態を伝えてご相談ください
- 画面が割れた・水に濡れた・電源が入らない通電を繰り返すほど状態が悪化します。電源を切ったままご相談ください
- 相続の手続きに期限が迫っている資産の手がかりが端末の中だけにある場合、確認に時間がかかります
- どこから手を付けるか分からない端末以外にも整理すべきものがあります。全体の順番から一緒に確認します
デジタル遺品はスマートフォンだけではありません。パソコン・ネット銀行・サブスクなども含めた全体の順番はデジタル遺品整理のやることリストで確認できます。端末が開けない状況でも、並行して進められることは残っています。
参考にした公式情報
この記事は、次の公式ページの記載にもとづいて作成しています(最終確認: )。手続きの内容は変更されることがあるため、実際に進める際は各公式ページで最新の案内をご確認ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法務・税務等の専門的な助言ではありません。個別の手続きについては各サービスの公式窓口や専門家にご確認ください。記事の内容は公開・更新時点の情報に基づいています。